イマジナリーフレンドもってる?心の安定をサポートする身近な存在

イマジナリーフレンドというワードを耳にしたことはありますか?子供の頃にしか見えない「空想の友達」ですが、実は大人になってからももっていたり、大人になってから出会う人もいます。今回は、イマジナリーフレンドのことを知りながら出会う理由、作り方まで紹介します。

2019年8月27日

イマジナリーフレンドとは

みなさんはイマジナリーフレンドというワードを耳にしたことはありますか?イマジナリーフレンド(Imaginary friend、「IF」と略することもあります)とは、「空想の友達」のことです。

自分の心の中にだけ存在していて、自分以外の人には見えません。存在自体は本人が現実にいるのかと錯覚するほどにリアリティがあり、話をしたり遊んだり、人によっては触れるという人もいます。

大人になっても存在していたり、あるいは大人になってから出会うという人もいます。ただ圧倒的に小学校に入るまでの子供に多くみられるもので、20〜30%がイマジナリーフレンドをもっているという結果もあります。特に一人っ子や長男・長女に多いのが特徴です。

子供がイマジナリーフレンドを作る心理

あなたは子供が人がいない空間に向かって話をしたり、ご機嫌に笑っていたりすることがあるのを目撃したことはありますか?それは他の人には見えないその子だけのイマジナリーフレンドと遊んでいるということです。

では、子供がイマジナリーフレンドをもち始める心理について、ここでは5つに分けて紹介します。

  1. 友達が欲しい
  2. 承認欲求
  3. 憧れ
  4. ルックスにコンプレックスがある
  5. 助けて!

心理①:友達が欲しい

一人だと寂しい、つまらない遊んだり話し相手が欲しいといった気持ちが無意識に反映して、イマジナリーフレンドを作り出します。イマジナリーフレンドを持つきっかけでは「友達が欲しい」という心理が一番多いです。

兄弟姉妹がいる場合は互いにコミュニケーションをとることが出来ますが、いない場合は自らイマジナリーフレンドを呼び出します。イマジナリーフレンドが一人っ子や長女・長男に多くみられるのもそのためです。

誰かと交流したいという強い社交性をもっているといえますね。

心理②:承認欲求

SNSでの「いいね」機能のように、人は自分のことを理解して欲しいと感じ、自分の思いを誰かに聴いて欲しい、見て欲しい、共感し認めてもらいたいという承認欲求があります。自我が目覚め始めたころの幼い子供でも同じようにこの「誰かに自分を認めて欲しい」という心理は働きます。

そういう存在が自分の周りにいない場合にイマジナリーフレンドを呼び出し、共感してもらうことで無意識に心のバランスをとっているといえます。

心理③:憧れ

子供のころはアニメのヒーローや戦隊モノ、かっこいい主人公に憧れますよね。自分が持っていないものや憧れるものをイマジナリーフレンドに求めるケースがあります。

例えば「心や体が弱い子」は「たくましくて強いヒーロー」を作り出し、「弱気でおどおどした子」には「自信たっぷりで強気な人」がイマジナリーフレンドとして現れます。イマジナリーフレンドは憧れの存在としてその子を励ましてくれたり勇気をくれます。

心理④:ルックスにコンプレックスがある

子供が自分の外見や容姿にコンプレックスを抱えて自信が持てない場合にも、コンプレックスとは反対の性質をもったイマジナリーフレンドを作り出すことがあります。例えば、目が小さい、肌が荒れている、運動神経が悪いなどです。

心理学の用語では、「補償」とよばれる自我防衛規制の一つです。自分の抱くコンプレックスを克服しようという心理が働いています。イマジナリーフレンドの存在が心の拠り所となり、安心して現実の世界でも人間関係を構築することができます。

心理④:助けて!

誰かに助けて欲しいのに近くに誰もいない時にも作り出すこともあります。例えばいじめられている、両親との関係がうまくいっていない、夜が怖いなど、自分にはどうにもできない困った悩みがある時に現れて助けてくれます。

助けて!」と精神的に追い詰められている場合でも、イマジナリーフレンドが現れて心強い助言をしてくれたり、一緒に居てくれるので乗り切れるのです。

大人がイマジナリーフレンドを作る心理

イマジナリーフレンドは、主に3歳〜7歳くらいまでの小学校へ入学前の子供に見られる現象です。ただし、大人になっても存在する場合や、大人になってから何かのきっかけで新たに作り出される場合もあります。

ではどうして大人になってもイマジナリーフレンドを必要をするのか、その心理をご紹介します。

  1. 現実世界でうまくいっていない
  2. 理想と現実のギャップに悩んでいる
  3. 妄想と現実の区別がつかない
  4. 家庭環境が厳しい
  5. 性的虐待を受けて育った

心理①:現実世界でうまくいっていない

現実世界で仕事がうまくいっていない、家族や友人、恋人との関係がこじれてしまっているなどの人です。そういったストレスも、好きなことや趣味でリフレッシュしてうまくバランスを取れれば良いのですが、解決できずに疲弊し、イマジナリーフレンドを呼び出してしまいます。

ただし、現実での問題が解決したり不安定だった精神が安定してくると、イマジナリーフレンドはある日突然消えてしまいます。

心理②:理想と現実のギャップに悩んでいる

大人になるにつれ、様々なものを見聞きしたり経験しながらその人の「理想の現実」というビジョンを持つ人も多いことでしょう。ただしそれが浮世離れしてしまったり、甘い幻想である場合はその理想と現実のギャップに悩んでしまいます。

どうしても埋められないことに納得がいかないと不満をもってしまう場合にイマジナリーフレンドを呼び出します。こういった人は、現実での自己表現が苦手であることが多く、場合によっては友達ではなく恋人を作ってしまうこともあるそうです。

心理③:妄想と現実の区別がつかない

何か問題があったりストレスを抱えていることが由来ではなく、性格的に閉鎖的だったり内向的な人がイマジナリーフレンドと出会うことがあります。こういったタイプの人は妄想と現実との境目が曖昧で区別がつきません。そのためイマジナリーフレンドの存在を現実でも友人などに得意げに話してしまうことがあるようです。

イマジナリーフレンドは、本人の脳内で都合良く動いてくれる性質もあります。そのため、現実世界での人間関係が希薄となってしまい、さらに内向的になってしまうこともあります。

心理④:家庭事情に問題がある

家庭内に暴力があったり極端に厳しいしつけのもとで育てられている、親がギャンブルに依存している、両親が不仲など家庭内の複雑な事情から、心にあいた穴を塞ぐようにイマジナリーフレンドを必要とし作り出す場合があります。

あまりにひどいと解離性同一性障害(一人の人の中に、本来のその人とは違った複数の人格が代わる代わる現れる障害)へと症状が進んでしまうことがあるため、注意が必要です。

心理⑤:性的虐待を受けて育った

家庭事情の問題と似ていますが、性的虐待は大人になってからも癒えない傷であることが多いです。辛い記憶を搔き消すために、「被害に遭っていたのは自分ではなく、イマジナリーフレンドだ」と思い込むことによって自己防衛をするようです。

こういった人は、子供の時からずっとイマジナリーフレンドがいたり、大人になってからでも癒えない傷を癒すために新たに作り出すことがあります。

イマジナリーフレンドの役割

イマジナリーフレンドにはいくつかの役割があって存在しています。以下では具体的に5つの役割を紹介します。

  1. 子どもの成長を助ける
  2. 生き抜く希望
  3. 感受性を育てる
  4. 最高の相談相手
  5. 自分を守ってくれる

役割①:子どもの成長を助ける

幼い子供が一人で喋っていることをプライベートスピーチ(Private speechとも呼び、実は学習能力や問題解決能力と関係があるといわれています。イマジナリーフレンドを持つ子供は、社交的で友達が多いことがわかっています。

幼いころは人間関係の構築の機会が少ない場合が多いです。その現実でのコミュニケーションの練習として、イマジナリーフレンドとの関係が役立っているといえます。

役割②:生き抜く希望

世界大戦中の実例で、ドイツ軍に囚われたフランス兵は、厳しい牢獄の環境下で13歳の少女のイマジナリーフレンドを作り出しました。一緒に食事を分け合い、誕生日を祝い、牢獄の中で喧嘩や無礼な振る舞いがあった際は少女に謝るなど、本当に少女がいるように過ごしたそうです。他の牢獄では病死や自殺した人が出たのに反して、彼らは正気を保ち無事に全員が帰還したという話があります。

現代でも自殺などの抑止力になるなど、苦しい環境を生き抜くために必要な存在になっている場合もあります。

役割③:感受性を育てる

プロからアマチュアまでの小説家50人を調べたところ、全員がイマジナリーフレンドをもっていたり覚えていたという結果があるそうです。小説家に必要な要素に、イマジナリーフレンドとの関係があるのでしょうか。

イマジナリーフレンドを持つ人の多くは、敏感な性格ゆえにHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれ、人一倍感受性が豊かです。普段から出来事を事細かにイマジナリーフレンドと共有しながら、思考能力や観察力、自分なりの哲学を磨いている結果でしょう。

役割④:最高の相談相手

答えは自分の中にある」という言葉もありますが、すなわち自分の中に内包したイマジナリーフレンドと会話をしながら答えを導き出せるということがあります。悩んだ時、心が不安定な時、問題を解決できずに悶々とするのではなく、イマジナリーフレンドと自然に会話のキャッチボールをしながらどうすべきかの道が見えてきます。

ただし、ネガティブだったり悪質なイマジナリーフレンドの場合は悪い方向へ流されないような注意が必要です。

役割⑤:自分を守ってくれる

辛い現実や過去から逃れられない時に、子供のころや大人になってからでもイマジナリーフレンドと出会いがあります。苦しい気持ちの拠り所として無意識に生み出されたイマジナリーフレンドは、生命の本能的な防御作用ともいえます。

悲しい過去を背負ったのは自分ではなくイマジナリーフレンドだと思い込むなど、自分自身の被害意識を和らげる効果もあります。

イマジナリーフレンドが登場する映画や本

イマジナリーフレンドのことをもっと深く知りたい人にオススメの、イマジナリーフレンドが登場する映画や本などの作品を紹介します。最近ではドラマ『偽装不倫』でも主人公のイマジナリーフレンドが登場するなど、意外と多くの作品で登場していますよ。

  1. 赤毛のアン
  2. となりのトトロ
  3. ここにいないと言わないで ―イマジナリーフレンドと生きるための存在証明―
  4. NHK連続テレビ小説「つばさ」

①:赤毛のアン

カナダの作家L・M・モンゴメリが1908年に発表した長編小説です。小〜中学校の頃に読んだことがるという人もいるのではないでしょうか。

孤児のアンが引き取られた先で成長する青春物語です。引き取られたばかりのころに、周囲になじめずガラスに映った自分の姿にケティ・モーリスと名付けたイマジナリーフレンドと遊んでいるエピソードが描かれています。

②:となりのトトロ

宮崎駿監督作品のスタジオジブリの長編アニメーション映画です。田舎へ引っ越してきたサツキ・メイが子供の時にしか会えないといわれるトトロとの交流を描いた、誰しもがきっと一度は見たことのある作品です。

サツキがトトロに抱きつく瞬間が印象深いですが、しっかり者でいなければならないと無理をしていたサツキのいわば強烈なストレスが、大きくて優しいトトロにふわっと包まれて解ける瞬間です。空を飛んで遊んだり一緒に雨宿りしたり、不安な二人を支えてくれています。

③:ここにいないと言わないで ―イマジナリーフレンドと生きるための存在証明―

イマジナリーフレンドを持つ筆者が、その様子を綴った実際の体験記です。ひょんなことから空想の友だちである青年と暮らし、結婚さえも考えます。

筆者はルークを「つくった」とはいわず、「出会った」と述べているようにかなりリアリティがあり、本当に日常生活を共に送っていても違和感がない本人の気持ちがよくわかる本です。

④:NHK連続テレビ小説「つばさ」

多部未華子主演で2009年に放送された80作目のNHK連続テレビ小説作品です。10歳の時に母親がいなくなってしまったつばさが寂しさを紛らわすために聴いていたラジオから、「ラジオ」という名のイマジナリーフレンドであるおじさんが現れます。

辛い時や悲しい時に出てきて慰めてくれる愉快なおじさんとして描かれており、再び母親が現れた時にラジオは姿を消していきます。「怖い」「得体の知れない」というイメージはなく、明るいイマジナリーフレンドの面をうまく取り上げている作品です。

イマジナリーフレンドの作り方

イマジナリーフレンドが欲しいという人もいるのではないでしょうか。ただし、簡単にはイマジナリーフレンドは出来ません。イマジナリーフレンドは「神」に近い存在です。「信じる」ことは出来ても、「感じられる」ようになるにはかなりの時間が必要になると考えて良いでしょう。

ここでは、作り方の一例をみていきます。

  1. 理想とするイマジナリーフレンドをイメージしてみる
  2. イメージをさらに具体的にする
  3. 手紙を書く
  4. 質問をしてみる
  5. 会話をしてみる

作り方①:理想とするイマジナリーフレンドをイメージしてみる

理想とするイマジナリーフレンドはどんな様子でしょうか?「今の自分にはこんなイマジナリーフレンドが必要だ」「こんなイマジナリーフレンドが一緒にいてくれたらうれしいな」と思いながら、何歳くらいなのか、性別、見た目、人なのか動物なのか物なのかなどをどんどんイメージしていきます。

最後に名付けてあげましょう。呼び名があるとよりリアルに感じられるはずです。

作り方②:イメージをさらに具体的にする

出来上がってきたイメージを今度は紙などに書き溜めながら、さらに具体的にしていきます。イマジナリーフレンドには、どんな家族がいるのか、友人関係や好きな食べ物、色、音楽、口癖や仕草などはどうでしょうか?項目に対して「so what?(それで?)」と問いかけながら進めるとイメージの深掘りができます。

くっきりと存在が浮き上がってくるまで、どんどん想像を含まらませていきましょう。

作り方③:手紙を書く

イメージが出来たら、手紙をイマジナリーフレンドに書いてみましょう。かしこまった形ではなくても構いません。自分の1番の理解者なので安心して、今の思いを綴ります。

この手紙を書くという時点で、かなり自分の今の状況や辛い過去や困りごとなどが文字として整理されてきます。それだけでもスッキリすることでしょう。

作り方④:質問をしてみる

今度は、イマジナリーフレンドのことを理解できるように質問をしてみましょう。「食べ物は何が好き?」などです。

そして何回かに一度は自分が考えた答えとは違う答えをしてもらいます。そうすることで一人二役の会話から少しずつ自分の中にある人格とは違う人格のイマジナリーフレンドが脳内に出来上がりはじめます。

作り方⑤:会話をしてみる

他愛もない世間話をしてみましょう。質問とよく似ていますが、「?」で終わる問いかけではなく、ここでは自然な会話をしていきます。最初はイマジナリーフレンドが「そうだね」「私も(僕も)そう思うよ」「そうなの?」など、相槌をうってくれるイメージをしてみると良いでしょう。

一緒にいると安心出来て楽しい、そんなイマジナリーフレンドとの会話を楽しんでみます。寝る時などはおやすみと言って帰ってもらうと良いでしょう。

イマジナリーフレンドが心の安定を支えてくれる

多くの人は子供の頃に存在してそのうちに忘れてしまうものですが、大人になってからでも出会う人はいます。もし自分の子供にイマジナリーフレンドがいる様子でも心配をする必要もありません。

イマジナリーフレンドはまだまだ解明が十分ではないため、ブログや論文なども数多くありますがさまざまな意見や捉え方があります。ただ、確かに言えるのは、イマジナリーフレンドは子供が成長するための道案内として、時に不安やストレスから身を守り、心の安定を支えているということです。

イマジナリーフレンドは、誰しもが出会えるわけではありませんが、必要としている人が呼び起こす奇跡と言っても良いでしょう。もし出会えた時は、客観的になり、自分の心の状況を見つめ直したり環境を変えるきっかけになるかもしれません。ぜひ、イマジナリーフレンドと良い関係を築いてみてくださいね。