その違和感はアセクシャルが理由かも!無性愛者の個性を理解しよう

アセクシャルという言葉をご存知でしょうか?様々なセクシャリティに関心が寄せられ、生きやすい世の中にしようという動きが高まる現在。LGBTに属さないセクシャリティの一つとして「アセクシャル(無性愛者)」というものに関心が寄せられつつあります。恋愛感情や性的欲求の捉え方に特徴がある、アセクシャルの個性をご紹介ます。

2019年8月29日

アセクシャル(無性愛)とは

“アセクシャルとはどんな人のこと?”

まず、「アセクシャル(無性愛・エイセクシュルと呼ばれることもあります)」とはどういう状態なのか、その現状を検証していきたいと思います。

性的傾向を表す言葉としてLGBTというのが浸透しまてきましたが、アセクシュアルはそこにあてはまらない人達として注目を浴びています。ずばりアセクシュアルとは、同性異性に関わらず、他者に性的欲求を感じない人達のことです。

広く言えば性的欲求に加えて、恋愛感情自体がわかないという人もいます。

病院でアセクシャルの診断はうけられない

では、アセクシャルというのはどうやって診断されるのでしょうか?病院に行くなら何科?

アセクシャルに限らず全体的にいえることですが、実はセクシャリティというのは病院で診断されるものではありません。アセクシャルは病的疾患ではないとされているからです。

「もしかして…」と悩んでも、病院での診断は難しいことを理解しておきましょう。ではどうやって自覚するのでしょうか?次の項目でみていきたいと思います。

アセクシャルを自覚するきっかけ

“アセクシャルの気づき”

「もしかしてわたしアセクシャルかも…」と自覚するきっかけは何なのでしょうか?

  1. 友達との恋愛トークについていけない
  2. 彼氏作らないの?と聞かれてピンとこない
  3. 他者からの接触に戸惑うことがある
  4. SNSなどでアセクシャルのことを知る

きっかけ①: 友達との恋愛トークについていけない

学生時代、ガールズトークといえば恋愛についての話題が欠かせません。彼氏ができた女友達がいれば、「手はつないだ?」「キスは?」などと聞いて盛り上がるものです。

そんな話題でみんなのテンションが上がる中、どうしても楽しい気分になれない。関心がない。憧れることもない。

心の中でそんな感情が渦巻いて、「自分は人と違うのかも…」とアセクシャルな自分に気づくことがあります。

きっかけ②: 彼氏作らないの?と聞かれてピンとこない

年頃になってくると、友達同士や親戚などから「彼氏は?」「好きな人はいるの?」と聞かれることが増えてきます。アセクシャルの傾向がある人は、そんな言葉にいまいちピンとこないことで自分のセクシャリティに気づくことがあります。

かといって、同性の女の子に恋愛感情を抱く訳でもない。異性にも同性にも、付き合いたい、恋愛関係に発展したいという欲望が湧かないのです。好きな人ができることが当たり前なのかな?という疑問でモヤモヤしてしまいます。

きっかけ③: 他者からの接触に戸惑うことがある

自分自身は恋愛感情や性的欲求を抱いていなくても、相手が自分に対して好意を抱く場合があります。なんとなく流れにまかせてお付き合いを進めるうちに、当たり前のように相手はスキンシップを求めてきます。

手を握られてもドキドキしない。それ以上に進みたいと思わない。相手のテンションに自分がついていけない。

いわゆる一般的な恋愛の常識に、自分があてはまらないことに気づき、アセクシャルな傾向を自覚するきっかけになります。

きっかけ④: SNSなどでアセクシャルのことを知る

アセクシャルの存在をSNSなどのネットで知ることがきっかけになる場合があります。自分自身はなんとなく周りの恋愛観と違うなぁとは感じていても、その違和感を定義できていない人がほとんど。

ある日、SNSなどでアセクシャルの存在を知り、自分と同じ考え方や感じ方に似てることがわかって、自分もアセクシャルだということを自覚することがあります。最近はアセクシャルという言葉が少しずつ浸透してきているので、そういったきっかけが増えてくるかもしれませんね。

アセクシャルに対する誤解

“アセクシャルの誤解”

アセクシャルを理解するのはそうじゃない人からすると難しい部分も。アセクシャルに対する誤解をみていきましょう。

  1. 異性と接するのが苦手な訳ではない
  2. 愛情がない訳ではない
  3. 人嫌いではない
  4. 性格が冷たいと思われがち
  5. 絶対結婚しないとは決めていない

誤解①: 異性と接するのが苦手な訳ではない

恋愛感情を抱かない、性的欲求がないと聞いて、「きっと異性が苦手なんだろうな」と思われることがあります。しかし、そういう訳では決してありません。

例えば人として尊敬できる異性がいれば素敵だなと思うし(恋愛感情とは違いますが)、男友達と遊ぶのが楽しい人もいます。異性が苦手なのではなく、異性に恋愛感情が湧かないだけなのです。

アセクシャルだから異性と交流ができないと思われるのは、とても残念なことです。

誤解②: 愛情がない訳ではない

異性にも同性にも恋愛感情や性的欲求が湧かないアセクシャルな人達。だからといって、愛情がない訳ではありません。

家族に対して、友達に対して、愛おしく思う気持ちはしっかりと持っています。心配したり気になったりもしています。

ただただ、恋愛関係に発展したい、触れてみたい、などの性的欲求を感じないだけなのです。アセクシャルだから誰にも愛情を持たないという考えは誤解だと理解しておきましょう。

誤解③: 人嫌いではない

アセクシャルだというと、人嫌いだと先入観を持たれることがあります。世の中には、「異性(または同性)に恋愛感情を抱かないなんておかしい。性的欲求があって当然。」と思い込んでいる人達が一定数います。

そういう人達にとって、アセクシャルであることは「よっぽど人嫌いなんだ」という誤解に繋がってしまいがちです。ただ、実情はそうではありません。

アセクシャルなことと、人嫌いであるかどうかは全くの別問題。イコールで結ばないように気をつけましょう。

誤解④: 性格が冷たいと思われがち

①~③の誤解とも通じる部分ですが、アセクシャルは性格的に冷たいと誤解している人たちがいます。しかし、前途の通り、アセクシャルだからといって異性が苦手な訳でも、愛情がない訳でも、人嫌いな訳でもありません。それとこれとは別問題。

そういった性格の問題ではなく、アセクシャルは性的思考なのです。皆それぞれの恋愛観があるように、アセクシャルは他社に性的欲求を感じないというだけ。

もちろん性格的に冷たいだなんて誤解です。

誤解⑤: 絶対結婚しないとは決めていない

アセクシャルは結婚できない、結婚しない。そう誤解して決めつけている人達もいます。

確かに恋愛感情や性的欲求を抱かないにしても、他者に対して尊敬の念を抱いたり、一緒にいて楽だと思う気持ちは発生します。またアセクシャルでも家族を持ちたい、子供が欲しいと考えている人達も。

「恋愛=結婚」という考え方には沿わなくても、絶対に結婚しないと決めている訳ではないのです。誤解して決めつけるのはナンセンスです。

アセクシャルの人あるある

“アセクシャルのあるあるとは”

では、アセクシャルな人達は生活の中でどのように感じているのでしょうか?あるあるをみていきましょう。

  1. アセクシャルを悲観的に捉えられる
  2. アセクシャルを一時的な気の落ち込みだと思われる
  3. ガールズトークについていけない
  4. 恋愛相談をされてもイマイチ理解できない
  5. 寂しい人だという扱いをうける

あるある①: アセクシャルを悲観的に捉えられる

アセクシャルであることをそうじゃない人達にカミングアウトした際、よくあるリアクションが神妙な面持ちで気の毒そうな表情を浮かべること。かわいそうな人だと思われているんだろうなぁと、アセクシャルの人達は感じています。

様々な誤解があってのことかもしれませんが、アセクシャルな自分をどう捉えているかは人それぞれ。カミングアウトした理由にもよりますが、気の毒だと決めつける前に、本人の話をフラットに聞くことが大切です。

あるある②: アセクシャルを一時的な気の落ち込みだと思われる

「わかるよー。わたしも一時期アセクシャルだったから」という反応や、「そのうち治るから大丈夫だよ」という言葉。発する本人は自覚がないかもしれませんが、アセクシャルの人達にとってはちょっと的外れな言葉なんです。

アセクシャルは病気ではありません。誰にでもあって皆治るんだという発想も、正しくはないのです。

カミングアウトした際にそのような返答に、アセクシャルの人達は違和感やモヤモヤしたり、この人に言っても無駄だと感じてしまいます。

あるある③: ガールズトークについていけない

女の子たちが数人集まれば、大抵始まるのが恋愛話や男の子にまつわるガールズトーク。「みんな彼氏を作りたいものだ」「イケメンと触れ合いたいものだ」。そんな先入観でどんどん盛り上がる場面では、アセクシャルの人達は息苦しさを感じてしまいます。

その場にいるだけならまだしも、アセクシャルと自覚している人に「彼氏作らないの?」などと発言しようもんなら、ちょっぴり面倒に感じたり、窮屈な思いをしてしまいがちです。

あるある④: 恋愛相談をされてもイマイチ理解できない

恋愛感情や性的欲求を感じない、アセクシャルな人達はなんとなくフラットな印象を持たれることがあります。そうすると、ここぞとばかりに恋愛相談を持ち掛け、第3者の意見が欲しくてアセクシャルな人達を頼ってくる友達も。

ただ、女性の恋愛相談は自己肯定されたい場合が多かったりするもの。アセクシャルな人達にとって、何か意見をすることは少なからずデリケート。

そもそも自分に恋愛感情はないものだから、恋愛相談自体が面倒に感じることもあります。

あるある⑤: 寂しい人だという扱いをうける

こちらのあるあるも誤解からくるものですが、アセクシャルな人のことを寂しい人だと決めつけてかかる人達がいます。アセクシャルだと知って、この人はきっと孤独なのだと勝手に想像してしまうからです。

アセクシャルであることと、寂しい人であることは決して同類ではありません。アセクシャルな人達にも家族がいたり、親友がいたり、子供がいる人だっています。

性的思考だけで寂しいかどうかを決めつけるのは間違いです。

意外と身近にあるアセクシャルコミュニティ・イベント

周りの人と恋愛に対する興味が違うとは自覚していてもアセクシュアルの存在を知らない人、もしくは周りと同じように振舞わないといけないと苦しい思いをしている人達もいます。

カミングアウトしてからも、周りに共感してくれる人が1人もいないと辛いですよね。そんなアセクシャルな人達を対象にしたコミュニティがあるので、ぜひネットなどで検索してみてください。オフ会等のイベントも頻繁に開催されています。価値観が近いアセクシャルの仲間ができたらきっと心強いですよね。

もっと踏み込んで、アセクシャルでも結婚したいと考えている人達向けのサイトもあります。友情結婚、共生婚などと呼ばれ、恋愛関係でなくても一緒に人生を共にする人と出会えるかもしれません。

アセクシャル(無性愛者)は珍しくない

周りの常識とされる感覚と違うことは、アセクシャルだと自覚する前も自覚してからも、時に戸惑うことが多いかもしれません。

ただ、世の中の流れが様々なセクシャリティに寛容になりつつある部分や、インターネットの普及で価値観の多様性に触れる機会が増えたことから、アセクシャルへの認識が高まってきていることは事実です。

アセクシャルは100人に1人の確率でいると言われています。 まずはアセクシャルの個性を理解することから始めてみませんか?